ボタンを押して写真を撮る時の、カメラが発するカシャというシャッター音を思い出してみましょう。
今、頭に浮かび上がったシャッター(音)は、写真を撮るたびに同じように動きますが、同じ速さで動いている訳ではありません。実はそのスピードによって、写真の仕上がりが変わってくるのです。
では、シャッタースピードとは何でしょうか?どう理解すれば、毎回意図的に安定した品質の写真を撮ることが出来るのでしょうか。本日も始めていきましょう。

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シャッタースピードの究極のガイド
シャッタースピードについて
カメラは、フィルム(またはデジタルセンサー)に光を当てることで写真を撮ります。シャッターはバリアのようなもので、写真を撮っていない時は光を遮断するために閉じた状態です。写真を撮る為にカメラのシャッターボタンを押すと、シャッターが開いて画像を取り込み、撮影が終わると閉じる仕組みで動いています。
これがカメラのシャッターの基本的な機能です。他のカメラの機能と同様に、この機能にもクリエイティブな使い方があります。ここでは、シャッタースピードの定義について説明していきます。
シャッタースピードとは何ですか?
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間、画像に光を当てている時間のことです。これは通常、ミリ秒から分単位で測定されます。シャッターが開いている時間が長いと、多くの光を取り込むことになり、露出オーバーになる可能性があります。また動く被写体が写っている場合、シャッタースピードが遅いと動体ブレが発生する可能性があり、はやい速度で撮影すると、暗くなりすぎる可能性もあります。
これらの速度は、1秒の端数で表されます。「1/2」は「1/2秒」、「1/250」は「1/250秒」を意味します。つまり、数字が小さい(分母が大きい)ほど、速いシャッタースピードとなり、逆に1秒から30秒までの整数のように数字が大きくなればなるほど、遅いシャッタースピードとみなされます。
< シャッタースピードは、何を制御しているの? >
・露出 : 光の状態によって、遅いシャッターは画像を明るくし、速いシャッタースピードは画像を暗くします。
・動き : シャッタースピードが遅いほど、より多くのモーションブラーが出来ます。速いシャッターを切れば、動きはシャープでジリジリした感じになります。
ほとんどのミラーレス一眼カメラとデジタル一眼レフカメラは、シャッタースピードの範囲が広いです。通常は、カメラの品質によって異なります。ほとんどのデジタル一眼レフカメラは、1/4000秒から30秒まで可能です。一方、モデルによっては1/8000秒まで上昇できるものもあります。これは一眼レフとミラーレスカメラの違いの一つです。
シャッタースピードの定義が確立されたところで、技術的な側面に触れてみましょう。
カメラのシャッターの種類、メカニカルシャッター、デジタルシャッター、ハイブリットシャッター、そしてスローシャッターと高速シャッターのクリエイティブな活用法について説明します。
カメラシャッターの種類
シャッタースピードの一般的な流れは、写真と動画、アナログカメラとデジタルカメラで共通ですが、カメラのシャッターの種類については少し説明が必要です。まず、メカニカルシャッターから説明していきましょう。
Rotary Disc Shutter(ロータリーシャッター)
古き良き時代のセルロイド映画製作では、カメラや映写機にロータリーシャッターと呼ばれるものが使われていました。これは、1つまたは複数の開口部がある円盤が回転して、フィルムストリップからの光を遮断したり解除したりするものです。
このディスクの開口部は通常180度に設定されていますが(詳細は後述)、通常は0度から360度の間で調整することが可能です。このビデオでは、その調整している様子をご覧いただけます。
Focal Plane Shutter(フォーカルプレーンシャッター)
写真撮影において、カメラには一般的にフォーカルプレーンシャッターが搭載されています。
このシャッターは2枚構成で、1枚目のシャッターが降りてきてフレームに露光し、2枚目のシャッターが再び光を遮断する仕組みになっています。このビデオでは、その様子をスローモーションでご覧いただけます。
Leaf Shutter(リーフシャッター)
もう一つ、メカニカルシャッターの一種であるリーフシャッターについて説明していきます。
これはレンズの絞りと同じような機能で、複数の羽根が像面の中心から離れたり縮んだりする事をいいます(羽根を開閉させてシャッターを切る方式)。こちらもスローモーションでご覧いただけます。
デジタルカメラの台頭で、新しいシャッターが登場しました。実は、デジタルカメラのシャッタースピードは、カメラのセンサーに依存するところが大きいのです。カメラのセンサーには、画素と呼ばれる受容体が何千個と配置されています。これは、画像が記録される時に光を集める役割を果たしますが、それまでは(オフ)の状態です。
シャッターボタンを押すと、あらかじめ決められた時間だけ画素がオン・オフする、これがデジタルの世界でのシャッタースピードの仕組みです。
多くのデジタルカメラでは、メカニカルシャッターとデジタルシャッターの両方が使われていますが、シャッターの設定には大きく分けてローリングとグローバルの2種類があります。
Rolling Shutter(ローリングシャッター)
ローリングシャッターでは、画素を左上から右下へ、あるいは水平方向に上から下へと順次オンにしていきます。また、ローリングシャッターは、ノイズが少なく、ダイナミックレンジが広いため、映画のような映像になることが知られています。
ローリングシャッターの問題点は、光を順次記録するため、画像が歪む可能性があることです。同じ量の光を取り込んでも、各ピクセルが捉える瞬間は異なるのです。その差はコンマ1秒ですが、気付くには十分です。
Global Shutter(グローバルシャッター)
グローバルシャッターでは、全ての画素を同時に点灯させます。このため、ローリングシャッターによる不要な歪みを基本的に排除することが出来ます。このグローバルシャッターの欠点は、ダイナミックレンジが狭く、光量の少ない状況ではうまく機能しないことです。
前述したように、ほとんどのデジタルカメラには、メカニカルシャッターとデジタルシャッターが搭載されています。しかし、なぜ両方が必要なのでしょうか?どちらか片方では十分じゃないのでしょうか?
簡単に言うと、デジタルシャッターには一定の電力とキャプチャーの要件があるのです。メカニカルシャッターを搭載することで、消費電力を抑え、画素がメモリーカードに情報を伝える時間を短縮する事が出来るのです。
シャッター角度とシャッタースピードの関係
実は、シャッター角度とシャッタースピードは同じもので測り方が違うだけなのです。シャッタースピードは時間(通常1秒の何分の一)、シャッター角度は、その名の通り角度で測ります。
フィルムやビデオではシャッター角度が一般的ですが、スチル写真ではシャッタースピードが一般的です。
この動画では、動画を撮影する際に、なぜシャッタースピードよりもシャッター角度が良いのかを上手く説明しています。
シャッター角度とシャッタースピードを使い分ける利点は、単純に複雑な計算をしなくて済むことです。シャッタースピードは1秒の端数で計測されるもので、フレームレートを調整すると、同じようにシャッターを調整する必要があります。
例えば、24fpsで1/48秒のシャッタースピード(これは180度のシャッター角度です)で撮影しているとします。フレームレートを48fpsに上げて、同じレベルのモーションブラーが欲しい場合は、シャッタースピードを同等の速度に調整する必要があります。フレームレートを2倍にしたから、シャッタースピードも1/48から1/96に倍増させる必要があるということです。
また、シャッター角度を使用する場合は、設定を180度のままにしておけば、どのフレームレートを選択しても、カメラはフレームレートとシャッタースピードの比率を固定したままにしてくれます。
180度シャッターの法則
フィルムやビデオを撮影する時、多くの映像制作者が目指す「ルック」があります。「シネマティックビデオ」と呼ばれる、実際のフィルムを模した動きのある動画は、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。これを実現するには『180度シャッターの法則』に従えばいいのです。
これは、シャッタースピードとフレームレートの関係を説明したものです。フレームレート(frames per secondまたはFPS)とは、ディスプレイ上にフレームと呼ばれる連続した画像が表示される頻度(レート)のことです。ここでは、このルールを定義し、シャッタースピードとフレームレートの関係を見てみましょう。
180度シャッターの法則とは?
180度シャッターの法則とは、フレームレートの2倍のシャッタースピードに設定することです。これは映画業界の基準で「シネマティックシャッタースピード」と呼ばれることもあります。
*ほとんどのデジタル一眼レフカメラには1/50で撮影するオプションがありますが、1/48では撮影が出来ないので、24コマ/秒で撮影する場合は、シャッタースピードを1/50に設定するのがベストでしょう。
シャッター角度を調整することは、180度の法則を破る方法なのです。これは、シーンの演出に関連する180度のルールと混同しないように注意してください。
シャッター角度が270度から360度と広い場合、手振れやブレが大きくなります。これは言いかえれば、伝えたい物語やストーリーによっては、クリエイティブな目的に役立つ可能性があります。
もちろん、その逆で、シャッター角度を狭めて撮影すれば、フレーム間のモーションブラーは少なくなります。これらの概念を下記の動画で上手く説明しています。
要約すると、シャッタースピードを速くすると、映像が少し不自然になりますが、それが望ましい場合もあるという事です。より映画的なルックを得るためには、シャッタースピードは1/50秒に保ってください。
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シャッタースピードと露出のトライアングル
画像作成に関しては、シャッタースピード意外にも考慮すべきことがあります。この記事では、これらの要素について深く説明しませんが、それらも同様に重要です。シャッタースピードは、露出トライアングルを構成する3つの設定項目のうちの1つに過ぎません。
ここでは、残りの2つの重要な設定項目である『絞り』と『ISO』について簡単におさらいしておきましょう。
Aperture(絞り)
絞りとは、レンズの開口部のことです。シャッターボタンを押して写真を撮ると、画像を取り込むための穴が開きます。その穴の大きさが「絞り」です。単位は『F値』数字が大きくなるにつれて、穴の大きさは実際に小さくなります。F2.8のような数値は絞りが大きいことを示し、F22のような数値は絞りが非常に小さいことを示しています。
下記の動画では、被写界深度を作り出すための絞りの役割について簡単に説明します。
ISO
ISOは、光に対するカメラのデジタルセンサーの振幅またはゲインを測定します(従来のフィルムカメラを使用している場合は、フィルム感度を測定しています)。100が標準とされており100、200、400、800など、数字が大きいほどセンサーが光に敏感であることを示しています。
より高い数値は、より暗い状況で最適であると言えます。しかし、ISOを高くすると画像が粗くなる可能性があることに留意してください。ISO、絞り、シャッタースピードの3つを駆使することで、そのバランスをとることが出来ます。
露出トライアングルにおけるISOの役割について、こちらをご覧ください。
また、光量の少ないスポーツイベントを撮影する場合は、ISO感度を上げると効果的です。被写体が速く動いている場合、シャッタースピードが遅いと画像がブレてしまうので、注意が必要です。明るくシャープにとりたいなら、ISO感度を上げて明るくし、速いシャッタースピードをキープしてフリーズさせるのがベストです。
シャッタースピード、絞り、ISOの3つの要素が連動している様子を動画でご覧ください。
レンズの絞りの仕組み
この記事では、絞りと、シャッタースピードとの関係について触れました。しかし、写真や動画をより自在にコントロールしたいのであれば、もう少し深く掘り下げる必要があります。露出トライアングルの3つのポイントをすべて把握することは、カメラで自分の能力を完全に把握するために非常に重要です。
ぜひ、次回の『絞りとは何か – カメラの絞りと被写界深度の究極ガイド』もお楽しみください。

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