映画におけるカラーグレーディングとは?

たまたま映画「ゲーム・オブ・スローンズ」を見ていた私たちは、場所を特定するキャプションがなくても7つの王国を簡単に切り替えることが出来ました。

それはなぜか?なぜなら、陰鬱な色合いと涼しげなトーンによって、北部と高温で乾燥したドーンの砂色と黄色を見分けることが出来たからです

それは、撮影に適したロケーションが選ばれたのか、それとも高度なCGIが適用されたからなのか?いや、そうではなかったのです。

恭平

この素晴らしい情報を発信するにあたり「Digital Beauty Workの協力を得ています。

Digital Beauty Workは、受賞歴のあるVFXプロデューサー「Max Colt(マックス・コルト)」が率いているチームです。

彼らのHPでは素晴らしい映像作品や映像制作に役立つ情報を見ることが出来ます。ぜひ下記よりご覧ください。


カラーグレーディングは、私たちに無意識のうちに映画の世界をより深く理解させるものです。アンダーソン監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」では、ストーリーの時間的な変化に合わせて、鮮やかな赤から淡い青やベージュへと見事に変化しています
しかし、アンダーソン、キューブリック、スピルバーグでなくても(少なくとも今のところは)、この科学を利用し長編、短編、ドキュメンタリーなど、あらゆる映画でカラーグレーディングを利用することが出来ます。デジタルカラーリングは、今日ビデオ制作のあらゆる場面で使われているのです。

Color Correction vs Color Grading

まず、技術的な側面がどこで終わり、創造の魔法がどこで始まるのかを見極めましょう。一般的にカラーコレクションは単純作業と考えられ、その反面カラーグレーディングは、純粋な美的感覚と考えられています。

この認識は、カラーコレクションとカラーグレーディングが別々に行われ、クリエイティビティが全くないことを意味するなど、やや誤解を招いてしまいます。

実は、カラーコレクションとカラーグレーディングは非常に密接な関係にあり、技術的な側面と芸術的な側面の両方を持っているのです。この二つとも同じスキル、同じ機材、同じソフトウェアを必要としますが、カラーグレーディングの方がより知名度の高いプロセスであると言えます。

現代の映画界において、色補正はカラーグレーディングの初期段階(かつ不可欠なプロセス)であると言っても良いでしょう。これは撮影現場で見たままの色を再現し、制作段階から引き継がれた欠陥を低減・除去して、ニュートラルな映像を作り出すことを目的としています色補正は、アーティストが絵を描くためのキャンバスのようなものなのです。


技術的には、以下のような段階となります

  • ノイズやアーチファクトの除去
  • 露出補正
  • コントラスト補正
  • ホワイトバランス補正
  • ハイライト、シャドー、中間調の補正

また、マスクや明度・色相・彩度の範囲指定など、フレーム内の特定部分の処理もカラーコレクションに含まれます。このように色補正を行うことで雰囲気やイメージを視覚的に表現することが出来ます

例えば、キャラクターの目を輝かせたり、小道具の意味ありげな色を強調したり、フレームに奥行きを与えてドラマチックな効果を出したり、オブジェクトの色を完全に変えてシーンの統一感を出したりする事も可能です。

image via Digital Beauty Work

カラーグレーディングは、様式化、感情移入、雰囲気作り、美学、そして映画の最終的なルックに磨きをかけ、映画の背後にあるストーリーを伝えることに重点を置いています。しかし、このプロセスも非常に技術的で、明るさ、コントラスト、カラーバランス、色相、彩度など、前ステージと同じ作業が必要になります。

これらの効果は、通常ルックアップテーブル(プリセット値を持つカラープロファイルを一つのファイルにまとめたもの)を有効にしてから、画像を補正するために適用され、より高速に変換されます。

またLUTsは、カラーコレクションでも映像全体の色調をリファレンスショットと合わせる時に使われますが、高度なカラーグレーディングでは、デジタル値を変えずにナレーションをサポートする為に様々な色の組み合わせを試すことが出来るのです


Cinematic Color Gradingとは?

デジタルではなく、実際のフィルムで撮影された映像を模倣するシネマティック・ルックが今、流行しています。その為に映画監督は、ライティングからシネマティック・カラーグレーディングまで、様々な手段を用いることが多いです。

シネマティック・カラーグレーディングは、映像に寒色系や暖色系の色味を取り入れたり、色の遷移をスムーズにして、リアルすぎず、エモーショナルな映像に仕上げるための強力なツールです

このようなポストプロダクション処理には、色彩とそれが人間の精神や生理(学)に与える影響についての深い理解が必要です。カラーグレーディングの動画を見て、LUTsを適用すればいいというものではありません。少なくとも以下のような事を理解する必要があります。


  • カラーホイール
  • 色調
  • 色の調和と不調和
  • 色(彩)の暖色と寒色
  • 色の関係性

こちらのYouTube CH Studio Binder「映画におけるカラーセオリー」も合わせてご覧ください。


Professional Color Grading
必要な5つのステップ

プロによるカラーグレーディングのBreakdown Videosは、技術的な側面に重点を置いていますが、ここでは概念的なものに注意を向けさせたいと思います。

これらはあなたのスキルを向上させるものではありませんが、プロフェッショナルなアプローチを身につける為の基礎となるものです。

①事前に計画を立てる

プロのカラーグレーディングは、映像がカラーリストの手に渡るずっと前から始まっています。カメラの設定、フラットカラープロファイルとデフォルトカラーファイルのどちらで撮影するのが良いか、どのような照明条件ならアイディアをより良く表現できるかなど、事前に把握しておく必要があります。

②インスピレーションを得る

例えば、ハリウッド映画の象徴的なオレンジとティールのカラーグレーディングやレトロスタイルのドラマの彩度が低いカラーパレットなど、特定のジャンルを念頭に置いている場合、この分野で確立されたlooksを借りることが出来ます

これらの人気のあるlooksを繰り返すように設計されたクリエイティブなLUTsは、あなたのイメージを実現する上で大いに役立つでしょう。

③自分のビジョンに従う

LUTsは、時間とコストを節約するために商業的なカラーグレーディングで広く使用されていますが、万能のオプションではありません。結局のところ、それはあなたの物語なのです。

だから、あるプリセットのカラープロファイルが特定のシーンに合わないと感じたり、それが呼び起こす雰囲気が少しずれていると感じたりするかもしれません。そんな時は、遠慮なく自身に従い設定を変えてみてください。

④少ないことは、多い

この段階での調整によって、色補正の結果が変わってしまい、人工的な色に見えてしまう可能性があることは覚えておいてくださいしかし、例えばティム・バートンの「不思議の国のアリス」のようなファンタジーの世界を作る場合、不自然になることが真の目的である場合もあります。

⑤基本を学ぶ

シネマトグラフィーの基礎知識、フィルムストックの理解、色彩心理の学習、更には自分の目の働きを理解して映画のカラーグレーディングを学ぶことが大切です。

カラーグレーディングのプロセスに関連する小さなディティールは、あらゆるところに隠れていますが、何よりもまず一般的な基礎を学ぶことが最も重要と言えるのです。


バランスの取れた
Color Grading Palettes

色を把握する必要性から、カラーホイールに辿り着き、その助けを借りて調和のとれた組み合わせを作ることで、ビジュアルストーリーテリングを向上させることが出来るのです

ここでは、映画でよく使われる4つの配色を紹介します。

一つ目)Complementary(補色)

補色は、黄色と紫色のようにホイールの反対側に位置しています。この寒色と暖色の反対色は、前景と背景を視覚的に分けたり、対立を表現したりするのに適したコントラストを作り出しますが、これは映画「アメリ」で見事に再現されています。

二つ目)Analogous(相似色)

オレンジと黄色のように隣り合う色は暖かさと冷たさのどちらかを放ち、ある感情を引き出したり、静けさを作り出したり、単調さを強調したりと、完璧な調和をもたらします。

三つ目)Triadic(3つの色相)

ホイール上で互いに等距離に横たわる3つの色は、メインカラーとアクセントカラーに鮮やかな選択肢を与えてくれます。例えば、映画「スーパーマン(1978)」では、青、赤、黄の3色でドラマチックな演出がなされていますが、落ち着いた色合いの方が、さらに活躍の場が広がります。

四つ目)Monochromatic(モノクローム)

類似のスキームとは異なり、このパレットは一つの色の様々な色合いをベースにして、特定の関連性を構築したり(「マトリックス」のグリーンのように」特定の感情を強調したり(「ムーンライズ・キングダム」のノスタルジアのためのイエローのように)するものです。

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実際には、上記のスキームを組み合わせる事で、更に多くのオプションがあります。以下ではカラーグレーディングの例を通してそれらを探ってみましょう。


映画における
Color Gradingの例

2019年に公開された映画「ジョーカー」は、Jill Bogdanowiczが手掛けた表情豊かなカラーパレットが広く評価されました。

補色のグレーディング(オレンジとティール)がよく使われ、青みがかったトーンがオレンジをポップにしながら、Arthur Flack’sの自分自身と社会との葛藤にぴったりのフレームを作り出すことを実現しています。

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Jill Bogdanowiczは、先に述べた「グランド・ブダペスト・ホテル」にも携わっており、その色彩の豊かさで有名です。そのパレットは、時間の経過だけでなく、ホテルの初期の豪華さとその後の衰退にも一貫しています。ぜひ、映画作品もご覧ください。

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他の例

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1930年代には赤の単色、1980年代には黄色と青の褪せた色調、そして戦時中には白黒に変換された作品もあるのです。カラーグレーディングで映像をより美しくする方法がたくさんありますので、ぜひこの機会にお試しください。

恭平

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Digital Beauty Workは、受賞歴のあるVFXプロデューサー「Max Colt(マックス・コルト)」が率いているチームです。

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